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Vol.05

「総長×若手職員 私たちのKU PRIDE」

2018.04.20掲載

一宮 藍子

Ichimiya Aiko一宮 藍子

総務部人事課給与掛
<2017年4月入職・事務職員>
業務内容:教職員の給与(初任給・昇給等)や諸手当(通勤・住居手当等)に関すること。

永森 大義

Nagamori Hiroaki永森 大義

企画・情報部企画課企画掛
<2015年10月入職・事務職員>
業務内容:学部等の設置及び改廃、その他将来構想に関すること。

辻 和真

Tsuji Kazuma辻 和真

吉田南構内共通事務部
経理課外部資金受入掛
<2017年4月入職・事務職員>
業務内容:担当部局の受託研究事業の経費の受入と実績報告に関すること。

山極 壽一

Yamagiwa Juichi山極 壽一

1975年に京都大学理学部を卒業し、同大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学。理学博士。日本学術振興会奨励研究員、財団法人モンキーセンター・リサーチフェロー、京都大学大学院理学研究科長・理学部長などを経て、2014年10月より京都大学第26代総長に就任し、現在に至る。

自己紹介

永森

まず、簡単に私たちの自己紹介をさせていただきます。
私は企画・情報部企画課企画掛の永森です。学部等の設置・改廃や指定国立大学法人に関する業務を担当しています。

山極

永森さん、よろしくお願いします。

一宮

総務部人事課給与掛の一宮です。教職員の諸手当であったり、給与決定などを担当しています。

山極

一宮さん、よろしくお願いします。

吉田南構内共通事務部経理課外部資金受入掛の辻です。外部資金(主に受託研究や受託事業)の受入れや経理報告の業務を担当しています。

山極

辻さん、よろしくお願いします。
企画、ヒト、カネ―つまり、京都大学の心臓をつくっているような仕事を担当しているんですね、本日はよろしくお願いします。

01

総長が職員に対して
求めること

永森

現在、本学で掲げている職員の求める人材像の一つに「多元的な課題の解決に果敢に挑戦できる人」というものがあります。
2017年6月から指定国立大学法人に指定されたこともあり、京都大学の一員として、より広い視野で「いかに自らの業務に課題意識を持って取り組んでいくか」ということが重要なのではないかと考えていますが、いかがでしょうか。

山極

2004年の法人化以降、各国立大学法人は個性を伸ばして独自の方向性を作っていくことが課題となってきました。 では、京都大学の個性って何だろうか。そう考えた時に「おもろいことを追求しよう」ということが頭に浮かんだんです。これは、私が総長になってからキャッチフレーズとして出しているものなんですね。 その「おもろい」っていうのは、どういう意味か。考えてみたら実は結構難しい話であって、自分が「おもろい」と思っても他人に「おもろい」って思ってもらわなければ共有できないわけですよね。「おもろい」ことは、単に革新的なことをすることを指すのではなくて、伝統の中に「おもろい」が埋まっている場合もあります。それを新たに発掘することも「おもろい」わけです。
つまり、私の考える「おもろい」とは、一種の文化だと思うんです。こういった文化が、大学にはあるんです。
「おもろい」っていう発想があるから先に進んでいける。それを京都大学は率先してやってきたから、例えばノーベル賞の授賞者が多かったり、京都大学オリジナルな学問があったりするのではないかと思います。これは、学生や教員だけが作ってきたわけではなくて、京都大学全体、つまりは学生や教職員が一体となって、何か新しいことをやろうという願望を実現してきたからだと思うんですね。
実は、そういったプロセスを様々な現場で目の当たりにしているのは職員の皆さんです。たとえば、永森さんの立場だったら、企画の仕事を通して京都大学は何をどのように実現しようとしているのか、大学全体の動きが見える。
一宮さんの立場だったら、人事を通して京都大学の動きや関係機関との関わりが俯瞰的に見えますし、辻さんの立場だったら、色々なところからお金が入ってきて、それを配分し、どこでどのように使われるのかといった一連の流れが見えます。こういう大学全体の動きを、学生や教員以上に知っていなければならないし、知っているはずなんです。
だから職員の皆さんには「京都大学をこうしていきましょう!」というようなアイデアを出すことが求められますし、私自身も期待しています。アイデアはいくらでも出てくると思うんですが、ただ発案するのではなく、限られたお金と少ない人材をいかに活用していくかという観点が大事になります。学生や教職員を含めた京都大学に関わる全ての人たちが、この観点を踏まえて、どういう風に「京都大学」を世界に発信するのか。学生や教職員は自負と誇りを持って「私は京都大学の人間です」と言いますよね。そこには学生の立場、教員の立場、職員の立場と様々あるわけです。これら異なる立場の者同士をつなげることが出来るのは、まさに職員、屋台骨を支えている皆さんです。職員の皆さんは毎日大学に来て、日々の大学の変化を唯一見ていられる存在といえます。しかも、異動を通して様々な立場から多様な価値観を吸収できるので、学生や教員とは全く違う視点を持っているわけです。それを大切に考えて、大学を良い方向に導けるのは皆さんなので、ためらわずに色んな提案や助言をいただければと思います。

永森

私たちが「日々の大学の変化を唯一見ていられる存在」であることに初めて気づきました。だからこそ見えてくることは多々あるかと思いますので、自分自身の立場からだけではなく、様々な立場から物事を捉え、ひいてはそれが大学の発展に繋がるようなアイデアを出せるように日々業務に務めていきたいと思います。また、京都大学は若手職員でも積極的にアイデアを出せる職場ですので、私たちもそれぞれ企画、人事、経理の現場で、おもろいことへの追求を意識して仕事をしていきたいと思います。

02

わたしたちの
「KU PRIDE」について

永森

先ほど冒頭でも少し申し上げましたが、私の「KU PRIDE」は、日本だけではなく、世界と伍していけるように世界の動きにアンテナを張って自らの業務に取り組んでいくことです。2017年6月には指定国立大学法人に指定され、社会や経済の発展に寄与しながら世界の有力な大学と伍していくためにも、国立大学改革の推進役を担っていく役割が本学に期待されていると思っています。

山極

そうですね。先ほどもお話ししたとおり、法人化以降、各国立大学は自由に色々なことが出来るようになったと言われています。しかしながら、各大学は、なかなか個性を出しきれていないのが現状だと考えています。本来は、運営費交付金が減っていくなかで優秀な人材をうまく活用しながら、独自の方向性を作らなければいけないんだけども、それが出来ていないという課題があると思うんです。例えば、もともと研究っていうのは社会が共有する財産であり、資本です。だから、国民の税金を使って国立大学を維持するっていうのは、世界市民を育てるっていう大きなミッションなんですよ。日本だけではなくて、世界を支える人材を我々が育てるんだっていうことなんです。京都大学で生まれた発想や新しい技術が、世に出て成果として共有できるっていうことが、国民の方々が投資する根拠になっているわけですよね。「おもろい」ことを追求することは日本に限ったことではないし、世界に通用することだと思うんだよね。だから、「おもろい」をもっと追求していって、世界から取り残されないようにしないといけないかな。

一宮

私の「KU PRIDE」は、「周囲の出来事に敏感になる」ということです。昨年の4月に入職し、もうすぐ1年が経とうとしているのですが、まだ自分の担当業務だけでいっぱいいっぱいになってしまうこともあります。ただ、自分の担当業務は、他の掛や他の部署の業務と関わっている部分もあるので「プラスα」のことを学ぶチャンスがたくさんあります。そのため、自分の周囲でどんな議論が起こっているのか気を配るように心がけています。特に私の担当している給与決定や諸手当業務というのは、国の法制度が変わると大学の給与制度にも大きく影響するので、学内の動きだけではなくて、国の動向にも注意を払っていきたいなと考えています。

山極

なるほど。今は大学にも「ビジネスモデル」を構築せよ、という声が非常に高まっています。端的に言えば、能力に応じた給与制度を考えなければいけない。今までは、時間や職種で給与が決まっていました。しかしながら、それだけでは個人の能力や努力が反映されていないじゃないか、っていう不満がやっぱりあるんですよね。それについて一宮さんは、どう思いますか。

一宮

それは非常に難しいところですね。教員であれば実学の先生が社会貢献度が可視化されやすいため、社会的に価値があるように見えてしまいます。そのため、可視化されにくい学問について評価をするのって、ものすごく難しいと思っています。

山極

おっしゃるとおりですね。学問の評価というのは人気度で図るものではないですし、学問が生み出す成果っていうものは一つの評価軸で検証できるものでもないです。100年経ってはじめて、すごい成果に結びつくものもあるしね。非常に難しいですよね。

私の「KU PRIDE」は、「常に成長するチャンスをうかがう」ということです。京都大学を取巻く環境は日々変わっていくので、自分で成長していこうと意識をもって普段の業務に取り組むことが大切だと思っています。例えば、ルーティン業務ひとつをとっても、前に上手くいったからそのままでいいやとかではなくて、より分かりやすく、より効率的に出来るようにするためにはどうしたらいいかということを考えながら、日々業務を行っています。

山極

おっしゃるように、日本の働く環境というのはどんどん変わっているんですね。ICTを取り入れて、超スマート社会を作っていこうとしている。特に会計業務は、膨大な計算を取扱うようなときは、人間の手で事務処理をするよりもコンピュータに代替させるということが実際には多いと思うんです。このような時代の流れのなか、会計を担当する辻さんとしては、何に心がけていけばいいと考えていますか。

そうですね、会計業務は計算をすることだけが仕事ではないと思っていますし、他の掛と連動して一連のお金の流れ(資金の受入れから執行・報告)を把握するというのが経理課としての大きな仕事だと思うので、横との繋がりも大切しながら業務を進めていくということだと思います。

山極

そうですね。それともうひとつ忘れないで欲しいと思うことは、お金を使うのは人間ということです。お金は、人の心理までをも動かします。お金の持つ特性を理解したうえで、人間が使いやすいように配分する方法は、まさに人間自身が考えていかないといけないですね。こういうことは今のコンピュータにはできないことなんです。つまり、コンピュータの導入で単に効率を高めるだけではなく、人間同士の関係をつくるものがお金であるし、働きやすい環境を作るのもお金であるので。その効果を考えて振り分けてかないといけないので、ぜひそういった点についても注意を払っていただきたいですね。
また、みなさん同じ頃に入職していますので、ぜひ同世代意識を持って、横のつながりを深めていってください。京都大学の潜在能力であったり、問題点であったり、何か京都大学に関係することを話し合う機会をつくっていただければと思います。

京都大学職員を
目指す方々へ

山極

今、人生100年時代構想が叫ばれていますが、これからは複線型の人生を設計するのがいいと思うんですよね。ただ、自分の職場だけに集中するというわけではなくて、趣味などを持ちながら自分の能力を単線ではなくて、複線で自分の楽しみを膨らましていくということが必要だと思うんですよね。職場だけが世界ではないですよね。他のことで培った能力を職場で活かし、職場で培った能力を他のところでも活かすことができると思います。色々なところに行って自分の可能性を高めるということをしていただきたいですね。それがひいては、大学の財産になると思っています。もちろん、健康には気を付けてくださいよ、体が資本ですから。

京大職員志望者へのメッセージ