Special Contents

Vol.09

「掛長になるということ 京大職員のキャリア座談会」

2023.02.01掲載

平冨 勇介

Hiratomi Yusuke平冨 勇介

掛長<平成20年9月採用>

平成20年 9月
人事・共済事務センター
平成22年10月
医学部附属病院医療サービス課医務企画掛
平成25年 4月
人事院近畿事務局第一課(文科省研修生)
平成28年 4月
総務部人事課給与掛
主任に昇任
平成29年 4月
総務部人事課任用掛
平成30年 4月
総務部人事課給与支給掛
掛長に昇任
令和 2年 4月
総務部人事課宇治地区人事掛
令和 3年 4月
人事部人事企画課宇治地区人事掛
令和 4年 1月
人事部職員育成課人事計画掛
日野 浩二

Hino Kouji日野 浩二

掛長<平成20年9月採用>

平成20年 9月
総務部総務課
平成22年10月
農学研究科等経理課
平成25年 4月
北部構内共通事務部研究支援課第二産官学連携掛
主任に昇任
平成26年 4月
北部構内研究支援課第二産官学連携掛
平成26年10月
医学・病院構内共通事務部経理・研究協力課運営費・寄附金掛
平成29年 4月
医学研究科研究推進掛
掛長に昇任
平成29年10月
医学研究科総務企画課研究推進掛
平成31年 4月
高等研究院事務部研究推進掛
令和 3年 4月
総務部法務室法務掛
山田 絵美

Yamada Emi山田 絵美

掛長<平成20年9月採用>

平成20年 9月
研究推進部研究推進課
平成22年10月
病院西地区共通事務部経理課
平成25年 1月
病院西地区共通事務部経理課受託研究経理掛
平成25年 4月
南西地区共通事務部経理課受託研究経理掛
平成26年 1月
南西地区共通事務部経理課外部資金第二掛
平成26年 4月
南西地区共通事務部経理課外部資金第二掛
主任に昇任
平成26年10月
医学・病院構内共通事務部経理・研究協力課外部資金掛
平成29年 4月
吉田南構内共通事務部経理課外部資金経理掛
令和 2年 4月
財務部経理課経理調達掛
掛長に昇任
藤野 亨

Fujino Tooru藤野 亨

掛長<平成20年9月採用>

平成20年 9月
医学研究科
平成22年10月
人事・共済事務センター
平成23年 4月
総務部職員課
平成24年 4月
総務部人事課
平成25年 4月
施設部施設企画課施設契約掛
主任に昇任
平成28年 4月
桂地区(工学研究科)経理事務センター契約掛
平成31年 4月
桂地区(工学研究科)学術協力課産学連携掛
令和 2年 4月
桂地区(工学研究科)学術協力課産学連携掛
掛長に昇任

所属・役職等は取材時のものです

平冨

本日はよろしくお願いします。

日野

山田

藤野

よろしくお願いします。

平冨

今回は、私含めてみんな同期同士かつ掛長ということで集まってもらいました。私が司会も兼ねさせてもらうんですが、今回は同期同士というのもあるので、堅苦しい感じではなく、いつも通りのフランクな感じで話せたらと思っています。ということで、早速、まずは職場の雰囲気を教えてください。

01

職場の雰囲気

藤野

職場の雰囲気って、その時にいるメンバーによると思うんですけど、この4月からメンバーが代わって、4月までと比べると静かになりましたね。

平冨

静かなのも悪いことではないですからね。

藤野

そうそう。4月までは和気あいあいとしている感じが強かったんですが、今は落ち着いている人が多いかな。ただ、どのメンバーでもお互い相談しやすい空気感は常にあると思います。

平冨

ありがとうございます。それでは次に山田さんはどうですか?

山田

うちも。。。やっぱり人によりますね。あとは、コミュニケーションの取りやすい環境かどうか。今の部署は、コロナとともに配属になって、当時は打ち合わせとか一切なくなって、同じ部屋にいるはずなのに相手の業務も見えず、聞くこともできず、手探りでやるっていう感じやって。。。正直、その1年間はしんどかったです。でも、最近は慣れてきて、こう動いたらいいんだなとかも分かるし、相談もできるし、優秀な人が揃っているので、助けてももらっていて、だいぶ楽になりました。

平冨

やっぱり、あのコロナの時期はどこも大変やったよね。。。日野さんは?

日野

そもそも、俺のところは結構特殊なんよね。

平冨

あ、確かにそうやね。

日野

基本的に学内における法的問題の相談等を受け付けているんで、部下3人、全員弁護士なんです。それで、結局、職場の雰囲気は弁護士によりますよね。

平冨

すべてはやはり。。。人やね。(笑)

日野

やっぱり仕事上で議論を始めると、さすが弁護士って感じになるんですよ。なので、そこで喧嘩にはならないように、普段からちゃんとコミュニケーションとることを意識していて。あとは、やっぱり大学独自の慣習もあるので、そこはしっかりと説明して、徐々に慣れてもらえるよう、うまくマッチしてもらうように頑張るのが俺の仕事やと思ってます。仕事する上ではどうしても、「すべてに納得してやってます!」という方が少ないと思うので。でも、特殊な環境下のわりには和気あいあいとしているんじゃないかな。

平冨

なるほどな~。ちなみに、自分の今の掛は、採用担当してるということもあり、メンバーもすごく明るい人達がいてくれているので、本当に明るく楽しい感じでやれていますね。業務内容的にもお互いコミュニケーションをしっかりと取る必要もあるので、その点では結構助かってます。
では次の質問にいきますね。
やっぱり掛員から主任に昇任するより、主任から掛長に昇任するほうが、自分の中のスタンスってだいぶ変わったのかなって思ったんですよ。そこで、自分が主任とか掛員だったときに、「自分が掛長になったらこうしよう」みたいな理想像と、実際自分が今掛長になってみて、ギャップとかありますか?

02

掛長を務めるということ

藤野

正直言うと、自分が部下の立場やった時に、掛長に対して、「こうして欲しいのにな」とか何かしら不満を持ってたのよ。それが今自分ができているか、って言われるとちょっと自信ないかな。自分が「100点の仕事が出来てる」とは思えないから。ただ、自分が当時不満に思っていたことは、なるべく対応しようとは思ってる。例えば、掛長が情報共有してくれなくて困ったことがあったから、情報共有はしっかりしようとか。

平冨

100点って難しいもんな。でも意識していくってことが大事よね。

藤野

あ、あとは昔は「残業が正義」みたいな風習もあったけど、そういうのは良くないってずっと思っていたから、自分が掛長になってからは掛で定時退勤とか休みを推奨したり、「できるだけ有給取りましょうね」って積極的に言うようにしてる。やっぱり、掛長が、残っていたりすると、掛員の人にプレッシャーになるから。そこはしっかりメリハリつけていけるように、意識して、変えていこうかなと思っています。

平冨

自分は、今まで何人かの掛長に仕えていくなかで、「自分が実務をやります」というよりも「困ったときにちゃんと聞いてくれて、対応してくれる」掛長がいて、その時に「こんな掛長になりたいな」って思ったよね。僕は実務ももちろんやるけどね!実際、掛長になって「部下が大きなミスしました!」ってなったときがあって、結構怖い教授に謝りに行かなあかんくて、めっちゃ嫌やって(笑)でも、そこはかっこつけて「行ってくるわ!」みたいな感じで行って、ちゃんと教授にも理解してもらって帰ってきたときの、部下達の「お疲れ様でした!」が、すごく嬉しかったのよ。みんなが嫌がるところを、自分がやれる。責任もある。それが出来た時っていうのは、一番掛長としてやってよかったなぁって思うね。

藤野

たしかに、その局面って、ほんま多いよな。

平冨

多い、多いね。まぁ、それも行った先、行った先の部署で立ち回り方も変るし、実務をバリバリするプレーヤーの1人となる掛長のところもあったりするしね。山田さんはどうですか?

山田

私はまさにプレーヤーの1人に徹しないといけない掛長なんですよね。掛長になる前はずっと研究協力やってて、その時に「こんな掛長になりたい」っていうイメージがあったんやけど、蓋開けてみたら想定外の配属先で掛長になって。。。そこは「あなたはプレーヤーの1人です」っていうところやったんで、当初思ってた「こうなりたい」がそのまま活かせなかったのよ。それが一番の戸惑いでもあった。でも、自分の考え方とか仕事のやり方を変えていくことで、今は機能してきているかなって思う。
あとは、上司からもよく言われてるけど、悪いことが起こってからではなく、長年の勘で何かが起こりそうな気がしたら上司には報告するように意識してるかな。「やっぱりこうなってしまいました」ってなる前に回収できるようにするには大事な事やと思う。

平冨

事が起こってからでは大変やもんな。そういう時って、ちゃんと上司も助けてくれるんですか?

山田

そう、上司はしっかり話聞いてくれるし、すぐ動いてくれるんで安心してます。

平冨

ありがとうございます。それじゃあ次の質問に移ろうかな。
もし今タイムスリップして、自分が新採になった時に戻ってしまったら、自分にどういうメッセージを言ってあげたいとかありますか?

03

新人職員に伝えたいこと

日野

俺は、「見てくれてる人はちゃんと見てくれてる。だから肩肘はって頑張りすぎる必要はないよ」って伝えたいかな。

平冨

気負いすぎるなよってね。

日野

そう。入職した時って頑張りすぎちゃうからね。

山田

私は、自分が採用された時って、ちょうど「iPS細胞」が話題の時やったのよ。採用面接でも、それをネタにして「そういう最先端の研究をサポートしたいです!」って言ってたの。なので、もしもその当時の自分にいうとしたら「入職して数年後にノーベル賞の受賞関連の警備をやってます!」って伝えたいかな(笑)

日野

夢がかなってよかったやん(笑)

山田

まぁ、「警備する」は夢じゃなかったけど、そういった形でも関われたのは嬉しかったね。

平冨

え。でも、その警備って危なくないの?

山田

どっちかというと、取材が来ないようにっていう警備やから、男性職員とペアになって、腕章つけて、それっぽい人が来たら「広報課が一括した窓口になっているので」って伝える感じかな。

平冨

すごいねぇ!それって、なかなかできることじゃないやん!

山田

ほんと、タイミングですね。ノーベル賞授賞式のときとかは、海外に一緒に行くことはできなかったけど、先生から直々にメダルチョコをもらえただけで充分です。

平冨

え、直接メダルチョコもらえたんですか?

山田

そう、なんかノーベル受賞者の慣習らしい。授賞式でスウェーデンに先生が行ったときに、大量に買ってきて、お世話になった人に配るみたい。その時に、先生が直々に共通事務部の事務室来てくれて、1人1人配っていったの。

平冨

京都大学やからこその経験な気もするね。藤野さんはどう?

藤野

「希望部署に配属されなかったとしても、辛い仕事についてしまったとしても2年、3年で異動していくから、諦めずに頑張れよ」って言いたいかな。

日野

確かに。自分の希望が100%叶うことってほとんどないし、でも結局そこでの経験っていうのは、全部自分の糧になってるよね。「こんな仕事やりたいんじゃなかった」って思う時もあったけど、そこで得た知識や経験が今の自分の糧になってるのは実感するな。

平冨

たしかに、俺も最初の配属が給与支給掛やったから、「こんな仕事あるんや」って感じやった。本部やったから学生とか先生とも関わらないし、基本「職員番号」と「数字」とずっと向き合ってて。そんな中でも1年ぐらいしたら、担当業務の中で「こうしたい」っていうのが出てきた気がする。1年目って「わけがわからない状態」で、周りの人にも結構迷惑をかけたりする。。。でも一生懸命やっていれば「こうしたい」が出てきて、ある程度実行することもできて、周りの人も喜んでくれたりする。最初しんどくても、最後は絶対報われるときが来るから頑張れとは伝えたいですよね。

日野

やっぱり異動できるっていいと思う。最初に配属されてからずっと同じところで働くよりは、異動したほうが絶対いい。最初の配属が希望通りじゃなかったとしても、それがやりたいことに変わる可能性もあるし、希望し続けてたら、自分の行きたいところに行ける可能性もあるし。

山田

そうですね~。今もいろんな系統を経験できるような人事ってやってるんやっけ?

平冨

やってる!若手のうちは、いろんなことを経験してほしいから、いろんな系統の職に異動することになってるね。

藤野

そうそう、うちの掛は財務系やけど、新採でうちの掛に配属なった子は、次に教務系に異動してた。

山田

個人的には、いろいろ経験できるのはいい事やと思うけどね。

日野

絶対いいと思う。それこそ管理職になったら幅広く見ていかなあかんやん? すべてを事細かく知っておく必要はないと思うけど、やっぱり全方向みる必要があるから、どこか1個に知識が偏っているよりかは、様々な知識があるほうがいいと思うけどね。

平冨

それでは次に、折角なので、同期の話をしようかと思います。同期はどんな感じですか?

04

同期職員との関係性

日野

あ、それでいうと、もし自分が新採のときに戻れたら、「同期のKくん!めっちゃいいやつやで」っていうのも伝えたい!(笑)

平冨

(笑)え?仲悪かったっけ?

日野

いや、仲悪いってわけでも、仲良いってわけでもなかったんやけど。たまたま同じ掛になって一緒に仕事したら、めっちゃいい同期やし、めっちゃ仕事できるっていう。だから、当時から仲良くしておけばよかったって思った!

平冨

笑 なるほどね、うちの同期ってさ年配組と若手組があるやん。それで、Kくんは若手組で、それこそ入職したときとか、若手組だけで集まって、24時間ぷよぷよしてたらしいのよ(笑)そこで、ちょっとしたジェネレーションギャップを感じたりはしたよね。

日野

今はね、そんなギャップみたいなのはないけどね(笑)

平冨

あと昔はみんなでよく飲み会とか行ってたよね。

藤野

たしかに。特に入職して最初2~3年くらいはそうやったな。

平冨

月1くらいで行ってた!

山田

平冨さんはだって!飲み会要員みたいな感じやったからやで(笑)

平冨

しかも、結構な人数いたよね。

藤野

30人くらいおったんちゃうかな。でもコロナになって、全然なくなっちゃったなぁ。。。

日野

そろそろ、また集まりたいね。入職して10周年の時に行きたいなって思ってたら、コロナに突入しちゃって。。。俺らはもう14年目に突入したし。

平冨

すごいよね。いつの間にか長いこと働いているよね。やっぱこうやって同期と仲良くできてると安心感あるよね。

日野

ある!特に、聞きづらい仕事の電話とかあったときに、同期がそこにいたら「ラッキー!」って思う(笑)

平冨

わかる!そう!同期から連絡きて俺ではわからんかったから、さらに別の同期に聞く!みたいなこともあるもん。

藤野

そういうのも本当にあるからな。同期の繋がりは大事にしたいよね。

日野

あと、同期が違う部署にいるときとか、本当にありがたい。

山田

わかる!その部署に知ってる人おらんし、内容も良くわからんっていう時に、問合せするハードルが下るのは本当にありがたい。

平冨

あるよね。大枠で、あそこの部署に聞かないとあかんのやけど、そこが正解なのかもよくわからんくて聞きづらい。その時に、座席表をみて「あ!同期おるやん!」って。とりあえず、同期に「ちょっと教えてもらっていい?」って聞くことができる。

山田

入職した当初は、本当によく同期に聞いてた。

平冨

めっちゃ電話かかってきてた!覚えてるわ~。そういう意味でも同期の繋がりは本当に大事にしたほうがいい。

藤野

あとは、同期だけでなく、人との繋がりも大事にしてほしいかな。結局、仕事は1人で出来るものなんて微々たるもので、みんなに助けてもらいながらでしか出来ない。特に今、掛長になって実務から少し離れて思うんやけど、今の自分が掛員がやってる実務ができますかって聞かれたら怪しいもん。

平冨

わかる!

藤野

やっぱり掛員の皆に助けてもらうことで、自分は仕事が出来てる。

平冨

本当にそうなんよね。掛長は「偉い」とかではなくて、あくまで「役割」なんやと思う。掛長というマネージメント系の「役割」。

日野

確かに、それでいうと、慣れた仕事とかは、絶対自分でやったほうが早い。でもだからって、その仕事を自分がやってしまうのは違うと思う。掛長になって、仕事出来る人をどんどん育てていかなあかんっていう立場になったんだなって実感するね。あえてやってもらう、あえて教える、そうしたら、自分自身もまた新しい気付きがあるから。そういう教育・育成していくのは面白いなって最近思う。

平冨

「教える」って自分の学びにもなるよね。自分だけでずっとやってたら、それが最善なのかってわからなくなるからね。それでは、最後に採用応募者へのメッセージをお願いします。

05

京都大学職員を目指す方々へ

藤野

結局、「仕事」っていうのはやってみないとわからない。いくら採用前に調べていたって、希望の職につけるのかもわかないし、そこに配属されるのかもわからないし。だから、狭すぎる視野でみずに、もっと幅広く大きな視野をもってほしいなって思います。気持ちとしては「なんでもやるよ!」みたいな感じで来てくれると嬉しいです。

日野

本当にそうやね。さっきも少し話してたけど、「辛い仕事」「やりたくない仕事」は必ずあって、そして必ず誰かはその仕事をしないといけない。大きな組織になればなるほど、そうなると思う。だから、ほんまに些細なことでも、それが大学の役に立っているっていうマインドは大事にしてほしい。どうしてもキラキラした仕事に憧れてしまうけど、必ずしも全てがそうじゃないから。そして、それは京大に限らず、どの企業でも同じやと思う。

平冨

確かにキラキラした仕事ってもちろんあるけど、実際そういう仕事につける人はなかなか少ないかもしれないね。やっぱり大きな組織を運営していくには、地味な仕事もいっぱいあって、ただ、そのたくさんの地味な仕事が繋がってやっと1つの大きなキラキラした成果みたいなところに繋がってると思うな。

山田

私もさっき話したように採用の時は、「iPS細胞!!」って言ってた1人やけど 笑 でも入ってみて思ったのは、「その下に何があるのか」「その中にどれだけ広がっているのか」っていうのが見えてなかったなって。実際は表面で見えている以上に深くて、やってみたら意外とやりがいがあったりもする。大学独特の部署、仕事、ルールとかもあるので、そいうところに行く可能性もあるって理解したうえで、最終的に自分のしたかったことに少しでも携われたらラッキーぐらいに思ってもらえたら一番いいんじゃないかなと思います。